夕暮れ、リゾート地の海辺にて

撮影:mamichikaさん

ロケ地:Golden Sunset Veneta

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お絵描きAIについて思うこと

最近僕の心をかき乱しているもの。それはお絵かきAI!
めちゃくちゃいい絵を描きますよね。

時には今まで絵を描いたこともない人がAIに達人級の絵を描かせているのを見て、憤死しかけることもありますよね。
今後はド素人がAIの力で素晴らしい作品を発表して人気を集めてデカい面しはじめるんじゃないかと、ドンドン想像を膨らませて眼の前が真っ暗になった人もいると思います。

僕はAIの絵を見てまず、絵の修業をしていない人がAIにめちゃくちゃいい絵を描かせているのを見てズルいと思いました。
しかしズルいという言葉は獣が吠えているのと同じだから言ったところでしょうがない(別に言ってもいい(私はあなたを嫌いにならない)けど)。
かと言って具体的に、「絵の練習をしていないのに上手い絵をかけてズルい」なんて言って自分のことを小っさい人間だと評価したくねえ!

これはみなさんも同じだと思います。
だからそういった言葉を回避して「ズルい」の理由付けをしたいし、みなさんもそう思っていると思います。
そう。狭量なのは僕だけではないのです(強調)

AI絵描きを批判する人がよく言っていることで、多くの絵かきの仕事が奪われるから良くないとか、AIの学習データに著作権の問題があるのではないか。
とか、ありますよね。僕もこういった理屈で自分のモヤモヤを納得させようとしましたが、人の言葉を借りるのではなく、ちゃんと自分自身の感情に向き合おうと思いました。
なぜなら、ちゃんと自分自身の感情に向き合った「深く考えている俺」は、ツイッターにいる有象無象のAI絵描き批判派どもとは一味違うのだと、自己肯定感を持つことができるからです。

前置きが長くなりましたが本題です。皆、心して聞いて欲しい。

多くの創作者は内心で、技術力と倫理感が並行して育つという法則を認めていると思います。
特に子供の頃に絵を描き始めた人は、当時自分がオリジナルだと思って作った作品が、後になってほぼ先人の模倣だったと気づいて恥ずかしい思いをするという体験をしているはず。

未熟ながらに作品を完成させて、自己評価し、それを発表して他人から評価を受け、次の作品を作る。
時には自分の作品が何かに似すぎと言われたり、逆に何にも似てなさすぎて一体何を目指してるのかわからんと言われたり、または他人の作品がそういうことを言われてるのを横目で見ることもある。

そういう繰り返しをして、恥を重ねながら「良い模倣」と「悪い模倣」の境界線を見極める倫理観というか、審美眼というか、を、高めることをしてきていましたよね。

僕自身も、ほぼ素人ながら絵を多少かじった者として、他人の絵の不自然さに気づくことはあります。
構図のバランスが最高なのに線画がプルプルしている絵。
色の選び方がプロ級なのに変に塗りがはみ出している絵。
立体的には破綻がないのに人体として異常なポーズの絵。

そういった絵は、他人の絵を不当にトレースしている結果であったり、ツールに頼って制作した部分が実力を超えて目立ってしまっている結果として出力された絵だと見抜けることがあります。
技術力がないのに不自然にクオリティが高い部分が突出して見えるから、我々は異常さを検知できるのです。

検知できないこともあります。絵がメチャクチャうまいのに人気が出た後から盗作だと発覚する人もいます。
過剰な模倣を悪であると認識する能力がない病気の人もいます。
でも多くは早めにバレて、社会の正義によって矯正されるか死んでいきます。

我々は現時点で、お絵かきAIで描かれた絵をそれがAIで描かれたものだということを見抜ける場合はあります。
しかし、それが何かの作品を過剰に模倣したと言い切れないものがほとんどです。

でもそれとはまた別の問題として、AIに描かせた作品を世間に発表しようとする人間は、その作品が倫理的に問題ないかどうかを判断できているでしょうか?

先行作品の過剰な模倣ではないと判断できているでしょうか?
絵のコンセプト(呪文)や出力物に創作性があるかどうか判断できているでしょうか?
またそれらをAIが描いた作品として発表するのではなく、自分の作品として発表する場合に問題がないかどうか。絵を描いてきた積み重ねがない人に、果たしてその判断能力が伴っているでしょうか?

お絵描きAIを誰でも使えるという状況、これは
「倫理観の伴わない技術力を、誰でも簡単に得られる」という状況である。
僕はこのことを言語化できずに、最初「ズルい」という受け止めになったのではないかと分析しました。

昔、宮崎駿が、プログラムによって出力されたCGのゾンビのモーションを見て、「極めてなにか生命に対する侮辱を感じます」とコメントした事件がありましたよね。
宮崎駿の言っていたことも、結局のところ僕の上記の理屈で完全に説明できると思います。
人間の脳みそで考え、考え抜いた結果表現したものには倫理が伴っているからいいけど、機械ごときがアルゴリズムで考えたことには倫理がないから許さねえ。
そう。僕は、宮崎駿の、境地に達しています。

(これってイラストが全てアナログ作業だった時代からCG作画に切り替わった時代も程度の差こそあれ本質的には同じことだと思うんですが、僕はその時代に悩んだ世代じゃないんで知ったことではありません。)

まあ、一言で言えばお絵描きAIはズルい!

のですが、それはそれとして、僕は今後AIがもっと使いやすくなったらめちゃくちゃ活用して絵を描きたいなと思っています。
なぜなら、絵の練習とか苦労せずにいい絵を描けたほうが楽だし良いから。文明とはそういうものだからです。

「機械が考えたことには倫理がない」が、「それを活用した作品を発表すること」を良しとするかどうか……
GOサインを出すか否かの判断を最終的に行うのは僕であり、僕自身は(皆さんが知っての通り)かなり倫理観が高い人間なので、最終的に僕の判断を通していれば全く問題ありません。

おれには「覚悟」がある。君らには「覚悟」があるのか?

以上です。

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バーチャルマーケット5を終えて(中編)

前回投稿したバーチャルマーケット5を終えて(前編)の続きです。

前回、「そんなこんなで半年くらいかけて「竜装の姫騎士メギドナ」が完成します!」と、あまりにも過程を飛ばしすぎたのでちょっとだけ補足。
Twitterのスレッドには必殺技を考えた工程が全く書かれていなかったので、そこを解説します。

メギドナの甲冑のデザインはドラゴンの姿の見立てです。
ドラゴンといえば、外見的に目立つ特徴は角、牙、翼、鱗……といったところなので、それらを鎧のデザインに盛り込んでいったのですが、
その中でも特に目立つ「翼」は強調しようと思いました。

コンセプトの一つに「邪気眼」があったので、翼のデザインで邪気眼を表現しようと思いました。
邪気眼つまり闇の力、闇の力といえば魔剣…… 邪悪な竜の力を得た魔剣…… を背中に展開して、翼の見立てにしよう!
もちろん背中に魔剣を浮かせるなら、それを戦うときにも使うべきでしょう。

こうして翼のデザインと必殺技の方針が一気に決まりました。
必殺技は「複数の魔剣を矢のように飛ばして攻撃」、これです!

必殺技を放つ理由、それは敵を殺すためです。
敵とは誰か? メギドナが使うのは「邪悪な竜の力」。邪悪とは誰にとって……? もちろん人間にとって、です。
つまり竜は人間の天敵だったのです。
そうか、メギドナは敵の力を利用して戦っていたのか! 知らなかった……

あっ、まぶたを閉じたらメギドナが見えてきた…… 君はそこにいるのか……?
メギドナ、もっと君のことを教えてほしい。どうやって竜の力を魔剣に封じ込めたの?
なるほど、魔剣を作るときに焼入れ工程で水の代わりに竜の血を使うんだね。そうすると剣に竜の力が加わると。

メギドナ、なんで魔剣が宙に浮くの?
なるほど、竜はその巨体を翼の羽ばたきだけで宙に浮かせているわけではない。魔力によって体重を支えているんだね。
そして竜の血には潤沢な魔力が溶け込んでいて、血を焼入れに使った程度でも剣を浮かせる浮力があるんだね。

メギドナ、魔剣自体が魔力を持ってるのと、君がその力を自由に行使できるのとは話が別じゃない?
なるほど、自分自身も竜の血を飲んで魔力を得ているんだね。そして自分が飲んだ血と同じ竜が流した血によって作られた魔剣は、ID認証が通って自由に操ることができるんだね。

そうして描かれたのがコンセプトアート「悪竜戦争」です。
この絵は、浮遊する魔剣による攻撃で地面に叩き落とした竜の、その翼を剣で地面に縫い止めて動けなくさせ、止めの一撃を放つシーンです。

この戦法はメギドナが教えてくれました!
空を飛ぶ竜を仕留めるには、まず動きを止めること。剣に過剰な圧力を加えて破裂させ、驚かせて動きを止める技がある。
動きを止めた竜の上空から剣を降らせて地面に叩き落とす技がある。
叩き落とした竜の反撃から身を守る技がある。
そして止めを刺すために、残りの魔剣を全弾撃ち尽くす技があるそうです。

メギドナはそれらを「悍ましき角」「嘆きの牙」「賢しらなる鱗」「忌まわしの爪」と呼ぶそうです。
彼女には祖国の城壁を爪で壊され、民草を角や牙で殺され、反撃しようにも硬い鱗に阻まれたという苦い記憶がある。
自分自身が竜の力を得た今、それらの記憶を糧として竜と戦うために、あえてトラウマとなったシーンを思い起こす名前を、魔法に命名しているそうです。
なるほど~

でもメギドナ、そんな戦い方してたら自分自身も竜の邪悪な力に染まっていきませんか?
なるほど、理性を保つために、右手にその聖剣を持っているんだ。
聖剣には特別な力は何もないけど、悪竜戦争以前の王家の治世に作られたもので、それを見るたびに人としての生き方を思い出し、邪悪に染まらずに済んでいるんだね。

なるほど~

いたく感動した私は、今回のVket5で、そんな彼女の勇姿を広めたいと思いました。
今回出店することになった場所は「祝祭のマルシェ」……
一時期は滅びかけたけどいろいろあって今ではすっかり平和になった世界のようです。メギドナの時空と似てますね。

「祝祭のマルシェ」は祭典が開催されている世界なので、ブースは「祭典の出し物」ということになります。
つまり普段はそこにはないけど、催しの間だけ一時的にそこに置かれるのが、私達の作るブースです。
つまり景観に溶け込まず、主張が激しく作り物らしいブースであって良いのです。

まずメギドナは国が滅んだとはいえかつては王族なので、王家を表す記号を入れます。
城の内装、特に玉座の間のイメージ。大理石の内装に、レッドカーペットです。

VRChatの日本人ユーザーは低身長のかわいいアバターを使いがちなので、その平均身長は120cmくらいとも言われます。
なので低身長の目線で見やすいブースにすることが基本ですが、そうなると高身長のユーザーに足元のデザインを見せつけることができません。足元はわりとデザインにこだわった部位だし、かっこいい寄りのメギドナのデザインを好む人は高身長アバターを使っている可能性も高いことが予想できるので、そういった来場者にも足元を見せたかったのです。
そこでメギドナのすぐ前に1mほどの階段を作り、床面を底上げしました。これで、ブースの外から中に入る際、足元から上半身に目線を移動させ、アバター全体を見てもらうための自然な流れができます。
また、さらによく観察したい場合、背の高いアバターは階段の下で、背の低いアバターは階段の上で、屈まなくても位置移動により見やすいポジションで3Dモデルを鑑賞することができます。

Vketにはブース寸法の規定があります。幅4m × 奥行き4m × 高さ5m 以内という規定です。
単純に考えてブースは大きいほど目立つので、規定サイズのギリギリまで活用します。
今回は上空スペースが余り気味となったので、屋根を作りました。
屋根があると暗くなるので、明かり取りのためにガラス窓を嵌めました。ガラス窓の形はスクラマヘッド(私のアイコン)です。
厚い屋根の重さを支えるために柱や壁を追加しようか迷いましたが、ブース内が見づらくなるのでやめました。
バーチャル建築の都合のいいところだけ活用していきます!

次にメギドナの3Dモデルを配置します。
まず王族ということを「堂々としている」ポーズで表現します。左右対称で重心が安定したポーズであるべきです。
そして背中の魔剣や右手の聖剣が目立つポーズが良いでしょう。魔剣は翼状に大きく広げて見せ、剣は体の前に配置します。

メギドナは強い。強さにはいろいろありますが、彼女の強さは「手段を選ばない」強さです。
ここではメギドナのキャラの方向性を記号的に表現するため、
「手段を選ばない戦い方の、ポーズが特徴的な既存キャラ」の印象を、パクって利用します。
手段を選ばない戦い方のキャラ、つまり…… 碇ゲンドウです。
碇ゲンドウのポーズをさせるためには手や肘を置く場所が必要です。ここで聖剣を使います。
聖剣を地面に突き刺したとき、柄頭に手を当てると手の位置が碇ゲンドウの如く口元に来るように、剣の長さを調節します。
またこのとき鍔の位置が全体に対してバランス良く見えるようにします。

コンセプトアートでは聖剣の長さがはっきりと描かれていません。
メギドナに聞いてみたのですが、私が描いたアートはメギドナの死後に彼女の世界の画家が描いたものと酷似しているそうです。
そしてその絵は彼女の姿を記録した絵として一番有名なものらしいのですが、聖剣が隠れているのでその正確な長さや形状は後世に伝わっていないそうです。

「碇ゲンドウポーズをさせる都合で聖剣の長さを変える」という行為に疑問を感じるところもあったことですし、
歴史的な経緯も踏まえた上で、聖剣にはブレンドシェイプで長さや形状を自由に変えられる仕様を追加して、その形状は利用者に委ねることにしました。
こうして聖剣のデフォルト仕様は、「幅広の刀身を持つ大剣」。しかし両手剣ほどは柄が長くなく、片手でも両手でも運用することもできる柄の長さを持つ「片手半剣(ハンド・アンド・ハーフソード)」ということになりました。

そして奥側の壁にコンセプトアートを嵌め込みます。
宗教画的な構図で描かれたこの絵は、目の前の3Dキャラクターが歴史上の人物であるということを示す記号として機能します。

立て看板を配置します。大理石のブースに対して、あえて現代的な鉄パイプのフレームで作られた立て看板です。
これは城などの歴史的建造物の内部が博物館化されている際、展示物の解説に使われる看板のイメージです。
誰も最後まで読まないであろうクソ長い解説文は、真面目に読ませるためではなく「博物館の展示の解説らしさ」の表現として機能します。
左右対称の配置にしたいので、左には歴史的経緯の解説、右にはアバター商品としての説明を書きます。

Vket5では日英2ヶ国語対応が公式から推奨されており、スイッチによって言語を切り替えるシステムも配布されていたので、英訳も用意しました。

Vketにはペデスタルアバター規定があり、展示できる髪やスカートなどの揺れものやマテリアル数などが制限されます。
メギドナのフルバージョンでは魔法4種類に含まれるマテリアル数が多いので、技を1種類だけ使えるサンプルアバターを4種類用意しました。
さらにパッと見で違いがわかるように、見た目のカラーも4種類用意します。

デフォルトカラーは臙脂色ドレス銀鎧の「亡国の姫君」。これには一番派手でインパクトのある魔法「悍ましき角」を持たせます。
青ドレス銀鎧の「青の聖騎士」には「嘆きの牙」を。
白ドレス銅鎧の「神話の英雄」には「忌まわしの爪」を。
黒ドレス赤鎧の「帝国の女騎士」には「賢しらなる鱗」を。
それぞれ持たせます。
販売するカラースキンは全部で7種類ありましたが、その中でも派手で個性がかぶらない4種を選びました。
なお「神話の英雄」はコンセプトアートと同じ初期案…… もとい、メギドナの世界での宗教画に描かれた歴史上のメギドナの衣装の色、という設定です。

そうして完成したのが例のブースです!
ここで写真貼ろうと思ったけど、ブースを真正面から撮った写真が1枚もない! 前回記事の動画を見てください。

またまた長くなったので今回はここまで。次回の記事でイベント開催後の話をします。
(続く)

(追記:続かない。飽きたしくだらない話になったのでここで終わり)

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バーチャルマーケット5を終えて(前編)

2020/12/19~2021/1/10に開催していた、VR上の展示会「バーチャルマーケット5」(以下、Vket5)に出展しました。
これはその総括記事です。

今回この「竜装の騎士メギドナ」を売り物としてVket5に出展しました。
「竜装の姫騎士メギドナ」VRChatアバター3.0用3Dモデル – Scramble Woods Booth店


私が実際にイベント上でどんな展示の仕方をしていたかというのは、ヤギ福様のこちらの動画が一番良くまとまっていると思います。
【VRChat】Vketを旅行しよう!祝祭のマルシェ Day1編【Vket5】

私とは特に面識なかった方の配信動画ですが、とても丁寧に見て頂いてます。


こちらはVket3のときに一緒にサークル出した84さんによる紹介!(いつもお世話になってます)
【VRChat】Vket5 part 7 Isekai Marche Day 1 2 3


また非常に運がいいことに、マフィア梶田と中村悠一の「わしゃがなTV」(ゲスト徳井青空さん)でも取り上げて頂いてました。
【Vket】バ美肉おじさん’s feat.徳井V青空【ミストトレインガールズ】

いや、これほんと夢見てんのかと思いました。


こういったVR空間上でのイベントがありまして、今回はそれを踏まえた話です。

まず売り物をどうやって決めたかということですが、Vket3での反省があったので、今回の第一目標は「触って楽しんでもらうこと」でした。
触って楽しいもの、しかも小道具ではなくアバターを作りたかった。
つまりはアバターとして私の作品を着てみて、今までにない体験をしてもらいたい。そして遊んでもらいたいというのがありました。

この命題に対する私の回答が「必殺技」です。
必殺技を出せるアバターをVketにお出ししたい! そして来場者には「ぼくのかんがえたさいきょうのひっさつわざ」で暴れてほしい!

また、そろそろJRPG的中世ファンタジーど真ん中のデザインのキャラクターを作りたい、という思いもありました。
かっこいい武器のアセット(販売されている3Dモデル)を持っていても、それが似合うアバターを持っていなかったので、自分で作りたかったのです。

ここで考えます。
必殺技を放つキャラクター、というのはつまり「主人公格の / 戦うキャラ」である必要があります。
戦うキャラであるからには、「強くて / かっこいい」必要があります。

主人公格のキャラ、つまり正当なる血統を持つ……「姫」です。
戦うキャラ、つまり甲冑で武装した……「騎士」です。
強いキャラ、つまり……「ドラゴン」です。
かっこいいキャラ、つまり「邪気眼」。

ピースは揃いました。コンセプトは「邪悪な力を使うドラゴン姫騎士」です!!!

ここでいうドラゴンとは東洋の神としての龍ではなく、西洋の悪魔としての竜です。
正当なる血統を持った姫が、悪竜の力を利用した必殺技で戦う…… といったコンセプトです。

私の創作物に、ドラゴンに関わるキャラクターが何人かいましたので、そのうち2名を抜き出して新しいキャラクターの原型を作ります。

外見のデザインとしては、昔作った「竜騎士」というキャラクターから引っ張ることにします。
竜のような鎧に身を包んでいる、魔法の力のバックアップで戦う戦士…… という以上の設定は特にありませんでしたが、このデザインを「姫騎士」に作り変えることにします。

設定は、終末の聖女メギドナから引っ張ることにします。
彼女は、長きにわたる戦争を自分の命と引き換えに集結させた人物であり、そしてこの人物が逝去した日が、後の世では暦の最初の日付とされ、聖女と呼ばれているという設定です。
これを姫騎士に作り変える……ということで、このように怪物化する前の姿は一国の姫であったということにします。

都合よくコンセプトに見合った過去の遺産があったため、キャラクターデザインに必要な工程をいくらかすっ飛ばすことができました。
こんな感じで、創作をやっていると「あのとき考えた設定はこのためにあったのか!」というようなことが多々あるのです。
では始めていきましょう。

自分のキャラクターデザインの手法として、まず大まかなデザインは何も資料を見ずに思い込みと妄想で描き上げます。この思い込み部分がオリジナリティを担保します。
そのあと資料を収集して、細かいディティールや服や装備などの構造のデザインを詰めます。この工程では自分が描き上げた思い込みのシルエットはなるべく崩さないように気をつけます。

姫といえばパフスリーブで、スカートが膨らんだドレスを着ているイメージなので、その2点が目立つようなデザインに「竜騎士」の甲冑を作りかえます。
また主人公格のキャラクターなら髪の毛や顔は出したほうがいいだろうということで、兜の防御性能は簡素化した上で、王族らしく装飾を派手にします。

ここから参考資料を集めます。「姫騎士」というワードでパッと思いつくキャラがまず5名。
そのあと「女騎士」「聖騎士」「戦乙女」「甲冑娘」などの周辺ワードに引っかかるキャラクターを列挙し、Web検索もして知らないキャラクターも徹底的に集めます。
もちろんキャラクターだけではなく実在の甲冑や刀剣の資料も。

集めた資料を見ていると、「姫騎士」を成立させる様々なタイプの要素が見えてきます。
敵の侵略により国を失った姫。女性としての非力を魔法で補って戦う姫。巨大な聖剣を持っている姫。
こうして自分の中に確固とした「姫騎士概念」が確立します。

……と、ここまでロジカルに考えた風を装いましたが、実際にはいろんな考えが渾然一体となったまま進めているような工程もあったので、
整理すると上のようになりますが、本当にここまでキレイに順を追ったわけではありません。

とにかくそのようにして制作が始まったのが、このツイート。


その後の作業工程は上のツイートに続くスレッドを見てもらえればわかると思います。

そんなこんなで半年くらいかけて「竜装の姫騎士メギドナ」が完成します!
長くなったので今回はここまで。次回の記事ではVketのブースのコンセプトの解説をします。

中編へ続く

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バーチャルマーケット3に出展しました

先日2019/9/21(土)より開催していた、VR上の展示会「バーチャルマーケット3」(以下、Vケット3)に出展していました。


【3Dモデルのデータ販売場所】
https://scramasax.booth.pm/


【Vケット3カタログのサークルのページ】
ここには委託展示(という名目の、事実上の合同出展)していた84さんの作品も一緒に置いてあります。
https://www.v-market.work/user/68


ありがたいことに目標以上の売上も出まして、十分成功と言える結果になりました。ありがとうございました。
今回ブース内のメインで展示したAuroは僕が作ったVRChat用アバターです。

ビスマス結晶の精霊Auro(アウロ)

Auroは3Dモデリングを始めてから作った主要なアバターとしては四作目となります。

ちなみに、
一作目は黒猫少年のThoarlnya(ソルニャ)
二作目はアルケミック・ナースのTalis(タリス)
三作目は銃士隊員Miriam(ミリアム)

申し込みした時点では銃士隊員Miriamを展示しようかと思っていて、実際それが4作の中で最も時間をかけて作ったモデルでした。
しかし鉱物を擬人化したキャラクターAuroのほうが、その性質的にキャッチーで話題にしやすかったのでお祭り向きだろうと考え直して、こちらを展示・販売することになりました。
Auroのように、見た目そのものにバックグラウンドがあるキャラクターは興味を持ってもらいやすいんですよね。
これは頭がみたまんまビスマス結晶なので元の鉱物を知っている人にはひと目でわかってもらえる。さらに知らない人の場合も、その奇妙な造形で目を引くことができ鉱物が元ネタだとわかれば実物を見てみたいと関心も湧く。
口下手な僕でも、このアバターを着ていれば初対面の人との話題作りに事欠かない程度には「話題力」があるキャラクターです。

オリジナルキャラクターといえど、何かの文脈に乗っかったキャラクターのほうが認識されやすいのです。
何かの擬人化、歴史上の有名人の少女化、インターネットミームに則した創作。一目見てそのアイデンティティがわかるキャラクターはやはり「強い」。
しかし強すぎて埋もれるというパターンもあります。
たとえば創作界最強存在であるところの「アリス」。水色・白・金髪碧眼で構成されたファンタジー要素の高いキャラクターがあれば、それはアリスと言い張ることができます。
認識力、話題力が高い上に、構成要素が単純なので創作の自由度も高い。
(アリスは僕も好きなモチーフで、数ある中で造形的な意味で特に好きなのは橘ありすちゃん! 物述有栖ちゃん! 角川つばさ文庫「新訳ふしぎの国のアリス」のアリスちゃん!ねんどろいどドールのアリスちゃん!)
しかしそれだけに造り手に実力がないと埋もれてしまうモチーフとも言えるでしょう。

僕はアリスが好きだ。しかし創作界の波に飲まれてしまうことを恐れた僕のような小心者は、もっと人の手つかずの、マイナーなモチーフを選択することになります。
そして思い出したのがビスマス結晶! Auroはもう7年前に作ったキャラクターなので、その後ビスマス結晶モチーフのキャラクターが爆増しててもおかしくないだろ、と思って検索したら、未だに似た方向性のキャラが誰にも作られてませんでした。

ビスマスの虹色の色彩をモチーフにしたキャラクターは散見されても、あの骸晶構造を再現したような造形のキャラクターがない。ビスマス結晶自体は最近知名度高いし、見た目の美しさは保証されているのになんでキャラクター化されないの!?
まあ冷静に考えればわかることで、2Dで表現するには作画工程が地獄すぎる。3Dでゲームに使うにはポリゴン数を消費しすぎる。フィギュア化するには造形が複雑すぎる。商業的な世界ではちょっと使いづらいモチーフなんですね。
そこで僕の出番だと思いました。誰がやるのを待つでもなく、僕が自分でやる意味を見出しました。自分が作らなければ誰もやらない、そんな創作テーマを見つけたらもう飛び込むしかありません。

実際のビスマス結晶

ビスマス結晶は誰が見ても美しい。しかし実際にビスマス結晶を手に入れ、さらにその結晶を眺めているだけで一日を終えた、そんな経験を持つ人間は少ない。
そんな数少ない人間のうち、3Dモデルを作ることができる人間はごく僅か。
では僕がやるしかない! 創作行為をしていても、こんなに「確信を持って創作できる」ということは滅多にないことで、運良くそれを見つけたからには絶対にやるべきです。
おそらくマイナーカップリングで二次創作している腐女子の方も同じような心境でやっていると思います。

僕もこういうテーマがわかりやすいキャラクターをいくつも持っていればいいんですけどね。
僕の他の持ちキャラは、好きな民族衣装とか軍服とか舞台衣装のようなものを噛み砕いて自分なりに消化したというような表現のしづらいものが多いので、一体人に何と紹介すればいいのか困る。
そう、特定のモチーフを使った時に、それを「消化」することで「自分の作品」として堂々宣言することができるのだ、という認識が、僕の創作物のわかりにくさになっています。
Auroの場合はモチーフを全く消化してません。基本的に頭にビスマス結晶そのものをくっつけただけですからね。僕がやったのはその結晶のレイアウトの工夫だけです。「ビスマス結晶の美しさを消化して抽象化概念化したものを捏ね上げてキャラクターにする」みたいなことをしていない分、わかりやすいのです。

そう、人に理解してもらおうとするなら、あまり「消化」して「排泄」してはいけない。
飲み込んだものをちょっと「咀嚼」してそのまま吐き出すくらいの創作のほうがわかりやすく見た人に優しい。

僕の普段の創作態度は「排泄」寄りですから、あまり他人に受け入れられ、理解してもらえたり、喜んでもらえるとは思えないですね。
本当は話題性とか抜きにして、単純に排泄物の造形の美しさで楽しんでもらえたら良いと思うし僕もそれを望んで作っていますが、世の中には自分よりはるかに美しいものを発表する人が多すぎて、そういった正攻法で人目を引くのはなかなか難しいでしょう。

僕は実在している景色や建築・衣装などの人工物を見て美しいと思ったりその仕組みに関心したとき、その感情が自分の中でなぜ起こったのかという謎を知りたくて、それを再生産することで謎に近づこうという目的で創作をしている面があります。
それは自分の脳みその中身を知りたいという欲求からなる創作であり、他人を楽しまようと思ってやる創作ではありません。
もしそういったものを今後、Vケットのような、展示会のような、お祭りのような場で見せるとなるとすると、一体なぜその必要があるのかもよくわからない。

ですので今後もVケットに出展することもあると思いますが、どういったテンション感で望めばいいのかちょっと決めかねていました。
やっぱりああいった場では人に楽しんでもらってこそ嬉しいものです。しかしその嬉しさは自分の創作の喜びとは必ずしも一致するものではありません。

そんなことを考えていたのですが、今回のVケット3では、Auroと一緒にPileInjector(パイル・インジェクター)というアイテムも出していました。

使っている様子

出展する前、このアイテムは賑やかしで置いているという程度に考えていたのですが、これが結構好評のようでした。
展示会場のSky Island-Forestは平和的なファンタジーな森の世界ですが、Publicインスタンスでは定期的にPileInjectorが作動する爆音が鳴り響いていて、会場の和やかな世界観を破壊していました。
仕組みとしてはシェイプキーの動作と同時に効果音を出す、それだけのことです。
創作の美学もテーマ性も何もないチープなおもちゃです。
でもこれこそがVRChatというコミュニケーションゲームにとって、Vケットというお祭りにとって必要なものではないのか? と今では思います。

アートはアートとして追求するとして、人を楽しませることもやっていきたい。
例えば僕は子供の頃、ノートを一冊全部使った長大な迷路を作ったり、一枚の紙を小さい絵描き歌のドラえもんで埋め尽くしたり、オリジナルのボードゲーム作ったり、友達をキャラクター化したり、へのへのもへじの亜種を何十種類も作ったり、そんなことばかりしてました。
もしくはネットを始めたばかりの頃、僕はワイルドアームズというゲームのお絵かき掲示板に入り浸っていたのですが、その頃はネタ画像みたいなものばっかり作ってましたね。
それらは当時作画の技術がなかったが故に、逆に絵の力に頼らずに自分の作ったもので人を楽しませようと思う心がそうさせたのかもしれません。
今は3Dモデリングの実力が足りていないことを実感していますから、当時と似たような状況で、また似たような心境になっているのは必然かもしれません。

こういう作品を次も出せるなら、Vケットに出店する意義がありそうです。
とりあえず今は次のアバターを作りたいですね! 作りたいアバターが沢山あるんです。
もし僕が今後半年で作るものにVケット向きのものがあるなら出展するし、なければ出展しないでしょう。
そのくらいの心づもりでやっていきたいと思います。

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無題

絵師さんに表紙を頼んだ話 https://anond.hatelabo.jp/20190519061244

この話は、筆者の中にある期待が疑心に、疑心が諦観になるまでの人間の心のダイナミズムを綴った作品なんですよ。これに対する解決策の提示や説教は的外れだ。そのことは筆者自身も危惧しているからこそ冒頭に注意書きされている。

かつてロマンチストだったんですよこの人は。かつては作品を通じて自分の内的世界が他人に伝わることを期待していた。自分のことを知ってほしい、理解して欲しい、それが彼女の創作の原動力だったのだ。そして自分の好きな絵師が作品を深く理解し、自分の内にある世界を、自分の長ったらしい文章などではなく、絵で端的に表現してくれる。そんな真の理解者が現れるというファンタジーを望んでいた。

でもそれは幻想に過ぎなかった。自分の気持ち、伝えたかったメッセージが全く読者に伝わっていないということを、絵師から受け取った絵を通じて知ってしまったのだ。そして同時に知った。自分の表現力の無さ…キャッチーさに欠ける要素も、物語の深い掘り下げもできていないことも、思い知らされてしまった。
創作者としての無能感に加え、自身が抱えた人間としての弱さ、慢心や嫉心までもが明らかになってしまった。

「気づかなけりゃよかった」、その通りである。創作活動なんかやっていなかったら知りようがなかった自分の罪を知らされてしまったのだから。創作をやっていなければ…自分の心が他人には分かり得ないという悲しみを抱えながらも死ぬまで心に致命傷を負わずに生きられたかもしれない。
でも自分を理解してほしいと望んだがゆえに、いかに自分がくだらない人間だったかということを思い知らされる羽目になったのだ。これが筆者の言う「悲しい」ということ。その悲しさの根拠は絵師に対してではなく、自分自身に向けられているのである。

文章の最後で筆者は、今後機会があれば細かく指示を出そうと誓っている。これは決意表明だ。絵師に表紙絵を描いてもらう行為を、「自分の心を慰めるためのもの」ではなく、「物語の本質を正しく読者に届けるためのもの」として利用していくという方針転換をすることを誓ったのだ。
今まで創作の原動力となっていた核を捨て去り、新しいステージに立つことを決意したのだ。創作者としての魂の生き死にが懸かった決断だ。摺り合わせが大事だと分かってたのならもっと早くそうしろ、などたかだか部外者が軽く口にしていいものだろうか?

…いや、しろや。摺り合わせはしろ。絵描きはお前の魂のステージを引き上げるための、お前の人生の、舞台装置じゃあないんだぞ。絶対に摺り合わせはしてくれ頼む。真に自分の行いを恥じるなら愚痴は墓場まで持っていってくれ。 摺り合わせしろ。マジ。摺り合わせ、しろ。

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VRアバターの頭身問題

VR用アバターとして最適な頭部のサイズについて考えている…
僕が今メインで使っているアバター「Talis」は、最初身長142.8cmで全頭高(顎~頭の上までの長さ)が27.7cm=5.15頭身だったけど、実際に着てみたら頭がデカすぎることが分かって後から強引に修正。今は身長139.1cmの全頭高24.6cm=5.65頭身。

そんで、これは新アバター「Miriam」の正面図としてざっくり描いたものなんだけど… 身長168cm想定だったので定規当ててみたところ、全頭高28cm。どうも、僕は何も考えずにキャラクター描くと、頭を28cmとして描いてるようだ。

イラストで顔がデカいのは絵柄の好き好きで構わないんだけど、VRで顔がでかいのは着心地に関わる。たとえば目を塞いだりするときにリアルと座標が一致しない。顎に手を当てたつもりが顔にめりこむ。

まんがやアニメーションでは、人物をデフォルメして頭身を低くすることで、キャラクターの全体の情報のうち「表情」の重要度を高めることができる。これはまんがやアニメーションのような表現方法においてカメラ位置が自由であることと相性がいい。頭をデカくすることで引きの構図でも表情に情報量を盛り込むことができるし、視線を顔に誘導できる。だいたいの作品において、キャラクターの表情表現は重要だ。

特に4コマまんがのように紙面が限られている表現媒体でデフォルメは効果を発揮する。僕の場合は、かつてイラストの基礎を(今は亡き)お絵かき掲示板で固めた経緯で頭がでかくなったのだと思う。400px四方のカンバスでキャラクターの魅力を表現しようとすると、自然と頭身が低くなるのだ。

でもVR空間はそれらと違って常に目線にカメラがあるから、相手が常識的な身長設定であれば、話す距離(1対1なら50cm、多人数なら1m)にいるアバターを見てまず目に入るのは普通に顔から胸あたりということになる。つまり現実と同じです。なのでわざわざ頭身を下げて顔を大きく見せる必要がないんだよね。

VRのアバター作るときは、今までイラストやっていた手癖でやらず、機能性を意識していかないとなあ、と思った…。 
とりあえず新アバターは身長168cmの全頭高24cmで作ってみようかな。これでちょうど7頭身。

あっ、冒頭でTalisがナントカって書いたけど、このブログ内にTalisに関する記事が全くない! 覚えてたらあとで書きます。

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僕がVR世界に入るまで

3日前(18/09/30)に初めてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して、VRChatにログインしましたよという話です。

この体験は人生に影響与えるレベルのものだと思ったので、後々振り返るために、それに至った経緯をまとめて記録しておきたい。これがこの記事の趣旨です。

VRChatというのは、簡単に言うとVRゲーム。
ネットワークに繋がったゲームの3D仮想世界に入ったプレイヤーが、アバターを介して他のプレイヤーとコミュニケーションするゲームです。
仮想空間への入り方は、HMDを装着してもいいですし、デスクトップモードといって従来のモニターに表示する方法もあります。マイクを使えばボイスチャットができるけど、声は発さずに身振り手振りや、筆談で楽しんでる方もいます。
仮想世界というのも1つではなく、Worldといって、神社や公園、町並みや自然を模した世界がいくつもある。ほぼすべてユーザーの手により公開されたものです。
アバターは、デフォルトで用意されたものもありますが、ほとんどはユーザーの手により提供されているものです。またこういったデータの中にはかなりの頻度で、3Dモデルの著作権を無視して作られた違法データも含まれていて、今はまだカオス状態です(この状態についての自分の見解はノーコメント)。

今のタイミングで始めたような人はほとんど、この世界を知ったきっかけがバーチャルYouTuberの動画経由なんじゃないかと思う。自分もそのクチで、昨年末に一世を風靡したねこます氏が紹介していたのを見て初めて知った。
ただそれがVRChatを始めたきっかけか?というとそうではない。僕は、「VRChatを知る前から、VRChatに興味があった」のである…

というのも、あれは確か2017年の夏コミの打ち上げで、僕がいつも表紙絵を描かせてもらっている評論系同人サークルSIRTのメンバーとの話。はん氏が「根暗キモオタクであるところの俺らは昔、深夜アニメを見て、ダイヤルアップ接続でネットにつないで育った。でもアニメもネットもウェイの巣窟になった今、次世代の若人根暗キモオタクは何のコンテンツで育つのか?」という問いかけである。

この話をするにあたってまず、読者の方との共通認識を得ておきたいので説明しますと。
根暗キモオタクは陽の光を浴びると溶けてしまうので、基本的に岩陰の裏とかに隠れている。この岩というのは「キモいコンテンツ」です。今でこそ状況は変わってきたが、かつての美少女アニメのようなキモいコンテンツには健全な人間は寄り付かない。インターネットもやってるのがオタクしかいないからノリがキモい。
つまり、キモい空間にはウェイが寄り付かない。ウェイが寄り付かない空間には、根暗キモオタクが集まる。それは明らかだろう、という話の流れに。

そこで僕は2つの予想を立てた。
第1予想「ゲームとか創作系アプリ内の、表層Webとは切り離された空間でコミュニケーションしているのではないか。」
第2予想「HMDを装着して、同性のオタク同士でイチャイチャするなりきりチャットが将来出てきたら、絶対キモい空間になる」
というものである。

この第2予想について… 当時全く知らなかったが、その話をしていた時すでにVRChatが運営開始されており、文化が開花しつつあったようだ。
僕は自分が想像していたものが既に実在していると知って驚き、テンションが一気に上ってしまった。
ただ、僕が想像していたものとは少し違って、若人オタク(中学生を想定している)が寄り付くような場所ではない。かつてのなりきりチャットは、文章によるコミュニケーションだったので、自分のHNを「クラウド」にすれば俺はクラウドだし、「リオン」にすれば僕はリオンなのであるが。
VRChatは3Dモデルのアバターが必要で、そのモデルを作ったり、あるいはリッピング等の違法手段にしろ、仮想空間に持っていく技術は中学生には少し厳しい。よってVRChatは、自分の予想よりユーザーの年齢層が高くなったのだが…

とにもかくにも、僕が欲しかったものがすでに存在していた! その喜びが、僕が後にVRChatを始めることを確定していた。

ただ、その時はすぐに手が出ませんでした。
なぜなら3Dモデルを作るスキルがなかったのと、モデリングを作るためには30万円する3Dソフトを買わなければいけない…という謎の誤解。HMDは高価いという認識。3Dゲームをするスペックに満たないPCを半年前に買ってしまったということ。
でもそれらは、バーチャルYouTuberブームの影響で3D未経験の絵描きが、Blenderというフリーのソフトをつかってモデリング始める事例が増えてきたこと。モデリングを始めたことでHMDへの投資が「腐らない」と思えたこと。スペックが満たないなら、今まで敬遠してきたPCパーツの知識を得て、パーツを換装すればいいじゃないかという発想。
それらにより心因的な壁が解決されました。これが3ヶ月前、5月中頃。

モデリングはやる気が限界突破していたので、毎日仕事終わった後に睡眠時間削って根詰めてやってたら、初めて三週間くらいでポリゴン数1850のヒト形モデルをVRChatにインポートするとこまで持っていけた。


(World「Avatar Testing‼」の鏡の前ではしゃぐ私こと“夜盗”、tHoaLNyA君 18/06/12)

HMDを導入するのは当分先で、まずはモデリングを頑張ろう…と考えていたが、3D始めたことでバーチャルYouTuberの動画を見まくるようになり、VR世界への渇望が強くなってしまった。
なのでついにHMDを購入する決意をしました。

それにあたって、まず今のPCがHMDを接続するために必要なグラボのスペックを満たしていないようだったので、PCパーツについて無知だったが、GTX1050から1070に換装することにした。去年、自作PCに詳しい方にアドバイス受けながらBTOメーカーでPC買ったのだが、その時よりもグラボの値段が、仮想通貨マイニングブームにより高騰していて数万円上がっていた。けど値下がりを待っていても仕方がない、時間が惜しいので購入しました。
グラボ換装作業は自力で調べながらやっていたが、最後の最後でどうしても詰まってしまって、Twitterで喚いてたら親切な方に助けていただいた。

価格コムで調べてグラボを買った店が、ちょうどHTC Viveをセットで買うと安くなるキャンペーン中だったので、HMD選びに迷う手間が省けた。
グラボ換装し終えたその日にHMDをつなぎ、ログイン。それが3日前のことです。

(次回に続く)

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久しぶりに

久しぶりに更新した。1年と4ヶ月ぶり。

木霊の唄は18/02/15に描き始めたらしい(スクショ撮ってるのでmetaデータでわかる)。半年以上かかってる…これ以上放っておくとエターナりそうだったので完全にお蔵入りになる前に気合で終わらせた。その前の獣は月夜に嗤うも4ヶ月かかってますね。両方とも実質15~20時間くらいで描いてる気がするし、一気にやれば1週間ちょっとで終わるやつなのに。

描きたい絵なのになぜ進まないのか。それは細かく言うと「描き終わった状態」が欲しい絵であって、「描いている状態」が欲しい絵ではないからですね。描いてる状態が楽しいわけではない。

 

絵を描くモチベ落ちてるここ数年で描いた(頼まれモノ以外の)絵は、逆説的に言うと本当にどうしても描きたかった絵です。ライフログとしての…

そう、絵を描くというのは僕にとってライフログです。文章で日記残すことで思考は記録できても感情は記録できない。なぜ、絵を描くことで感情を記録できるかというと、僕が絵を描くにあたって、自分が描きたいその絵の内容全てをコントロールできていないからです。描こうと思った絵やコンセプトがあっても、描いてるうちに自分で思いもよらない絵になってる。その時々の言語化できない感情に流されて、最初に思っていた絵とはかけ離れた絵になっている。

最初に頭の中にあった絵を、その通り出力できないというのはまあ描き手の欠陥というか「絵が下手」ということなんですけど、絵が下手であることで、描き上がった絵は感情ログとしての意味を持つのです。

カテゴリー: 持論を展開

お絵描き飽きてた件

薄々気づいてたけど絶対に認めなくなかったから口に出してなかったことなんだけれども、どうも僕は絵を描くのに飽きてたっぽいな。なんか最近絵を完成させることができないなあと思ってたけど…いまわかった、そして認めた。絵描くことそのもの飽きてた…

というのも、今、3DCG…キャラクターモデリングにのめり込んでる理由探ってて気づいたんですけども。睡眠時間削ってまで何かに熱中するのが久しぶりで、それが何故かって思ったんだけど、まず僕は表現したいものが無尽蔵に溢れ出てくるような天才肌アーティスト的な人間ではない(どう考えても)。

でもなんで創作やってたかというと、僕の生まれ持った「新しいオモチャを飽きるまで遊び倒す尽くす」という性質によるものだったのだ(バーン!)

つまり、絵を描いていると自然と技術が向上するわけだけども、この「向上した技術」というのが僕にとって新しいオモチャだった。
だからちょっと前までは、

” オモチャで遊ぶ(絵を描く)→新しいオモチャを入手(技術の向上)→新しいオモチャで遊ぶ ”

というサイクルができていたのである。

とはいえ絵が無限に同じペースで上手くなって行くわけもなく、だんだん得られるオモチャは少なくなってゆく。そして最後に得たオモチャで遊び尽くした段階で、、、飽きてしまったのである!

そして理解した。昔から、自分よりずっと絵が上手いのに、突然描くのをやめてしまう先達を沢山見てきた。
中には社会人になって時間が取れずにやめた人、創作意欲がなくなってやめた人、年を取って創作活動してるのが恥ずかしくなってやめた人、理由はいろいろあるだろうが…
僕のように「オモチャを遊び尽くしてしまった人」も少なくないはずだ。

そんなわけで、僕はしばらく新しいオモチャが眠る未開の地、3DCGランドを探検していこうと思います。
scrama.net にも作品をアップしたいけど、残念ながら3DCGのビュアーを設置する知識がない。そしてそんなことをする前に、まずはモデリングをしたい!
願わくば3DCGランドにも、新しい2DCGオモチャが埋まってるといいなあ…

探検の様子はtwitterで!

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書いてる人:州倉正和