悪竜戦争
竜の爪が城壁を砕き、灼熱の吐息が逃げ惑う民衆を焼く……
後の世に「悪竜戦争」として伝えられる大戦において、滅びゆく国の騎士が取りうる最後の対抗手段。それは、竜が振るう圧倒的な力を逆に利用することだった。
「竜装騎士」と呼ばれる彼女らは、竜の血を媒介とした魔法と、竜の血で焼き入れされた魔剣を武器として戦いに身を投じる。竜の血を飲む純潔の戦乙女が振るう剣だけが、竜の鱗を貫くことができるのだ。
そして彼女らが身に纏うのもまた、憎むべき敵の姿を模した鎧。それは、同胞である人間の儚さを認め、宿敵である竜の強さを認めた自虐的、冷笑的、あるいは諦観した自意識の象徴である。